季節はもう、冬休み前になっていた。
俺の記憶では文化祭からそう時間が経っていない気がするのだから、それだけ色々と印象に残っているんだろう、と思う。
冬休み前ともなればお祭り騒ぎの終わった生徒達は殆どだらけていて、元気に計画を練っているのは彼女持ちか生徒会の連中だけである。
彼女持ちはもちろんデートの計画。
生徒会の人間は、彼女なしの人間のためにクリスマスパーティーを開くのだ。そして心を癒すと言う名目のため、姫は強制参加。

「本当なら二人っきりで過ごさせてやりたいんだけどさ、姫はアイドルだし、彼氏…でいいんだよな?…がいます、ってことを皆に知らすわけにもいかないだろ?だから、悪いけど我慢してくれよ。あとはずーっと自由にしてていいから」

とハルヒは申し訳なさそうに言ってくれたが、別に俺はクリスマスくらいつぶれても構わない、と思っている。
そりゃ確かにイベントは大事な事なのかもしれないが、俺は別に古泉と一緒に過ごせれば二人きりじゃなくても良い、と思う。姫の格好してる時はそれなりにべたべたしてても気づかれないもんだしな。
ただ申し訳ないな、と古泉に対して思うのは、俺が未だに古泉に「おあずけ」を食らわせている、ということなのだろう。

まだ先で良い、というセリフ通り、古泉は未だに待ってくれているのだ。俺の心の準備ができるのを。
あれからももちろん、何度か以前と同じ事はしたのだが、俺が緊張しているのが分かるのか、一度出せばそれで終わり、それ以上はせずに抱きしめ合って寝る、というだけだった。
先に進んでいい、と口に出す事もできず、古泉の優しさに甘えていたのだが、そろそろそう言うわけにも行かないだろう。
等価交換ではないが、古泉だって苦しかったはずなんだ、少々の痛さや苦しさくらい、俺だって我慢しなければ。
それに、こうも思う。
一つになりたい、と。
だから俺は、ハルヒの作ったサンタ衣装に着替えながらあるひとつの決意をした。

『彼女がいなくて泣いてる奴ら、めそめそしてる場合じゃないにょろよー!』
『お前らの心のアイドル、姫のご登場だー!』

鶴屋さんとハルヒの、励ましてんだか苛めてんだか分からないようなセリフと、ジングルベルの音とともに会場に入って行く。今日の衣装はサンタ服で、俺がミニスカ、朝比奈さんがホットパンツ+ニーソ、古泉がロングという具合である。
ここからが姫のショーの始まりで、手にベルを持ちながらクリスマスソングを歌うのだ。

『ジングルベル、ジングルベル、鈴が鳴る〜♪』

やはり傷心の奴が多いのか、いつもより多少盛り上がりに欠ける。
それでも皆思い思いに楽しんでいるみたいで、やっぱりクリスマスなんだな、と感慨深くパーティーに参加した。
豪華な料理はうまかったし、ステージの上からプレゼントを投げるのも楽しかった。何しろ全員分あるのに、みんな必死になってとるんだからな。
最後は全員できよしこの夜を歌って、クリスマスパーティーは幕を閉じた。

「あー…寒ぃ!」
「冬ですからね」

と、俺の様子を見かねてか、古泉が苦笑する。
でも、この寒さがシャンパンでほろ酔い気分の体にはちょうどいい。

「…古泉」
「はい?…っ」

ぐい、と古泉を引っ張って俺から口づける。

「…メリークリスマス。何が一番良いんだろう、って考えて、やっぱりこれしかない、って思ったから…俺を、やるよ」
「…酔って言ってるんじゃありませんよね?」
「いい感じに正気だぞ。酔った勢いで決めたことじゃない」

折角人が、と思いながら古泉を睨みつけると、古泉の頬が赤くなっている事に気がついた。

「…すみません、嬉しいんですけど、あなたの事を思うとやっぱり不安になってしまって」
「いい。…苦しくて、辛かったんだろ。ちょっとは俺にも分けろ」

そう言うと、それ以上何も言わず、抱きしめてキスをされた。



部屋に帰るまで、手はつないでいてもお互い無言だった。照れて何も言えない、というか。
シャワーを、と思ったのだが余裕そうに見えて古泉には余裕が無かったらしい。そのままベッドに押し倒される。

「ん…っ…ふ、ぁ…」
「…、…好き、です」

口づけの合間に囁かれる言葉に、小さく頷く。
ボタンが外され、胸が外気に晒された辺りで電気つけっぱなしじゃないか、ということに気がついたのだが、消せ、と言った所で聞かないだろう、今までもそうだったのだ。
寒さのせいかもう堅くなり始めている胸のそれに古泉が触れる。最初の頃は痛いだけだったと言うのに、今はそれなりに気持ちいいと感じるのだから不思議だ。
滑りを良くするためかローションが塗られ、冷たさに思わず体がすくむ。

「すぐに馴染みますから」

と古泉に宥めるように額に口づけられ、古泉が触れるまま体を任せる。
じわじわと体が熱を上げて行く。空調のせいじゃないのは分かっている。

「ぁ、…っん」

胸を触っていた手がじりじりと下がって、体が期待するのが分かった。

「あ…お前、も」

自分だけされるのは嫌なので、いつものように古泉のそれに手を伸ばす。やはり古泉も興奮しているのか、既に半勃ち状態だ。それが、嬉しい。

「は、…っあ、ぁ…」

ぐちゅ、と微かに水音が響いて、それにすら煽られて行く。

「ん、ぁ…っ、も、…いく…っ」

堪え性が無い、と分かっていても止める事ができずに、俺は古泉の手の平に精を吐き出した。
しかしまだ古泉はイっていない。だから俺はそれでも手を動かそうとしたのだが、古泉に静止された。

「僕はまだ取り合えずいいですから」

そう言うと古泉は再びローションを手にとり、今度は俺の尻に指を持って行く。普段触れる事なんて殆どない窄まった場所にひやりとした感覚を感じて、俺の体は思わずびくりと跳ねた。

「…できるだけ痛くないようにしますから」

と古泉が苦笑するのが見えた。俺だってあれから多少調べて、どこを使うか、なんてこと知らなかった、とは言わない。が、それでもやはり体は緊張してしまう。
それを少しでも和らげようと思ったのか、古泉がもう片方の手で再び前を弄り出した。

「ん…あ、あ…っ」

前の方に気を取られて体が緩んでいるうちに、古泉の指の先が中に入り込む。
そんなとこ入るわけない、と思っていただけに痛さや苦しさを想像していたのだが、まだ先だけだからか分からないが、思ったよりはマシな感覚だった。変な感じがする事だけは否めないが。

「っ、ふ…ぁ、…!」

古泉の指が入り口を広げるようにぐにぐにと動いて、その変な感じが、別の意味の変な感じを伝えてきた。
つまり言ってしまえば、快楽と言ってしまっていいようなものを感じる、ということなのだが。
それが前も同時に刺激されるせいなのか、それとも後ろの刺激で感じてしまっているのか、分からない。
ただ不快ではない事は確かで、けれどそれを認めてしまうのが怖い。
自分が全く、別の生き物になってしまったかのようにさえ感じる。

「…つらい、ですか?」

その俺の怖さを感じたのか、古泉が心配そうに俺に問いかける。それもそのはずで、知らず知らずのうちにシーツを握りしめていたらしい。

「ぁ、違…う」
「じゃあ、痛い、とか?」
「そ…じゃ、なく…て…こわ、い…っ」
「怖い、ですか?」

俺はこくこくと頷いた。

「気持ちよく、て…こわ、い」

ぴたりと古泉の動きが止まって、俺は古泉を見上げる。

「…あまり、煽らないで下さい」
「な、…ぁ、あっ!」

いきなり古泉の指がぐ、と奥の方へ入って来て、思わず苦しくて喘ぐ。
気持ちいい、とは言ったが苦しくないとは言ってないぞ!

「でも、痛くはないんですよね?圧迫感があるだけで」

図星だった俺は思わず黙り込む。

「もっと優しくして差し上げたかったんですが…もうちょっと、急いでもいいですよね?」

口調だけは問いかけていながら、俺の返事を待たず古泉は指をもう一本増やす。
やはりそこに痛みはなくて、再び俺は圧迫感に喘ぐ。古泉も少しだけそれで動きを止めた物の、痛いわけではない、と言う事を悟るとまた中を広げるように指を動かす。

「ひ、ぁ、あ…っ」
「…気持ちいい、ですか?」

口で答えられずに俺は頷く。
ただ、この気持ち良さはまだまだ序の口だったらしい。
ちょっと苦しいかもしれませんが、と古泉が前置きして更に指を奥に進めると、電流が流れたかのように感じる場所があった。

「ぃぁあっ!?」

思わず体をのけぞらせてまで反応する俺に、古泉はくす、と笑みを深くした。

「ここ、良いんですよね?」
「ぁ、あ、やっ…い、やだ…っ…あ、ああっ」
「怖がらなくてもいいんです」

ここが感じるのは変な事じゃないんですから、と古泉は俺を宥めるように口づけるが、それでも怖い物は怖い。
前立腺と言うんですよ、という古泉の解説すら耳に入って来ない。いつの間にか指は三本に増えていて、もう苦しさなんて感じない、と言う事だけしか分からない。
俺の中から指が引き抜かれて、それを疑問に思っているうちに

「…入れますよ」

とどこか切羽詰まったような古泉の声が聞こえて、熱くて指より質量のある物が入って来た。それが古泉のものである、と言う事を理解するまでにそう時間はかからなかったが、流石に苦しくて息が詰まる。

「っ、ふ…ぁ、あ…」

それに気がついたのか古泉が再び前をゆるく扱いて、俺の体から力が抜けて行く。

「全部入ったの、分かりますか?」
「ひ、ぁっ…わかん、な…っ」

熱くて、苦しくて、でも、体も心も、凄く満たされている事だけは分かる。

「全部、入ってるんですよ。奥の方に、感じませんか?」

奥の方まで熱い塊があるのは分かるので、頷く。
ぎゅ、と手を握られ、優しくキスをされる。

「好きです。愛してます」
「お、れも…好き、だ…」

まだ息の整わない俺を宥めるように、口に、頬に、瞼に、額に、キスが降り注ぐ。

「…も、いい、から」
「でも」
「いい。はや、く」

俺だって結構苦しいんだ、と告げるとやはり古泉も相当切羽詰まっていたんだろう、すぐに奥にあった物がずるずると引き抜かれ、そしてまた奥へ入り込んでくる。

「ぁ、ん…っ…あ、あぁ…っ」

声を抑えようとしても今更で、それだけの余力がもう俺には無い。古泉の手を握り返すのが精一杯で、ただ嬌声を発するだけだ。
古泉のそれで一番感じる場所を突かれると、全身が痺れたように震えた。与えられる快感が強すぎて、もう何がなんだかわからない。

「ひ、ぅ、あぁあっ、…!」

好きです、と古泉が俺の名前を呼ぶ。
俺もそれに答えるように一樹、と古泉の名前を呼んだ。
それで古泉が感極まったのか、勢いよく突き上げられ、目の前が真っ白になった。

次に目が覚めたとき、

「大丈夫ですか?」

と服装を整えた古泉が心配そうに俺を覗き込んでいた所を見ると、俺はあれでイって、そのまま気絶してしまったらしい。

「…どのくらい、時間が経ってる?」

声は少々枯れていて、けほ、と少し咳をすると「そんなに時間は経ってませんよ」と言いながら古泉が水を持って来てくれた。
裸ではあったが色々綺麗になっている所を見ると、古泉が処理してくれたらしい。だが、少し身じろぐとどろり、とした物を後ろに感じて思わず顔をしかめた。

「あ…すみません、あのまま僕も中でイってしまったもので…」
「いちいち言わんでいい!」

慌てて俺は頭から布団を被る。聞いてしまった今では遅いと言う物だが。
…あとでシャワーに入らなければ。自分で掻き出すというのも、嫌な物だが古泉にやってもらうはもっと嫌だ。

「…あ」

ふと古泉が驚いたように声を上げたので、俺もつられて布団から這い出す。

「ほら、見て下さいよ」

と古泉が指し示したのは窓の外だった。

「道理で静かだと思いましたよ」
「雪か…」

しんしんと降る雪は地面を白く染め上げていた。これだけ積もっている所を見ると、ヤり初めていた頃から降っていたのだろう。

「…メリークリスマス」

そういえば言い忘れていました、と俺の名前を呼んで古泉がそう言う。
俺もくす、と笑って、二度目のメリークリスマスを言いながら、古泉に口づけた。











































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