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そしてあれから数週間が過ぎた。突然野球チームを作って大会に出場、なんてことはしたものの、あれ以降涼宮さんに大きな変化は見られない。
そしてもちろん、彼にも。
あれからまた《彼》が出てくることは一度もなかった。まあ大したことが起きていない証拠だと喜ぶべきところか。
彼が出てきたことがないということはつまり、僕のポーカーフェイスも完璧と言うことなので、大いに安心できる。
…それを物足りないと思うのは、ある意味彼から悪い影響を受けているのかも知れないが。
しかし考えても見て欲しい。何があっても世界は大丈夫だという確信があるのだ、ならばそれを楽しんだとしても悪いことにはならないだろう。
まあとにかくそんな日々も過ぎて、7月の頭くらいの頃だった。
彼が突然部屋を訪ねて来たのは。






ピンポン、とチャイムがなって、こんな時間に誰だろう、なんて思いながら僕はドアを開けた。

「よお」

思わずドアを閉めてしまった。何故彼がここに!?
というか、どちらの彼なんだろう。いや、彼に家を教えた覚えはないので、矢張《彼》なのか。

「酷いな、閉めることはないだろ、お前」
「…結局自力で入ってくるんじゃないですか」
「まあ一応常識を考えてだな」

今更彼が常識を守る方が調子が狂う。
それを伝えると、まあ今からすることは確かに常識は逸脱しまくってるからな、と彼は呟いた。

「え?…っ!」

気がつくと彼の顔がすぐ近くにあった。もしかして、これは。

「!!」

ぬるり、と柔らかい物が唇をなぞる。驚いて思わず口を開けると、それが入り込んで来た。間違いようも無くそれは舌で、つまり僕は彼にキスをされている。何故?
そう思ったのもつかの間、感覚として彼から僕に向かって流れる物があるのが解った。何だろう。不快ではない。寧ろ、心地良い。
その所為だろうか。求められるままに、舌を絡ませていたのは。

「んっ…ふ、ぁ……結構、上手いじゃないか、お前」

ぺろり、と唇を舐めながら彼が離れた。まあ経験くらいしてそうだもんな、と彼が呟く。ノーコメントと言ってしまいたいが、まあ彼の事だ。知ろうと思えばすぐ解る。

「…何をしたんですか?」
「ああ、力を発散させてもらっただけだ。最近神人も活動しないせいで、余計な力が有り余ってな。この体だけじゃ持ちそうに無かったんだよ」
「…それって一々キスしなきゃ移せないんですか?」
「直接的な接触の方が移しやすいんだよ」

…まあ、他の方法で発散、なんて言ったらとんでもないことになりそうだし。

「失礼だな、お前」
「すみませんね」

僕は肩を竦めた。

「本気で思ってないだろ。…まあいい。まだ発散し足りないから、付き合え」
「ええ。…え?」

思わず頷いたが、彼はなんと言った?発散し足りないから付き合え?
僕が戸惑っていると彼は僕の肩を掴み、再び口付ける。それと同時に床に押したお…って、ええ!?

「っ…ちょ、何、してるんですか…っ!」
「何って…性交するつもりだが?」

頭が真っ白になった。性交。セックス!?んな無茶な。

「あ、別にお前は何もしなくていい。俺が勝手にやるから」

って僕の体は玩具じゃないんですから!…あなたにしてみれば同じようなことでしょうけど。
心を読んでいるはずの彼からは、返答が無かった。変わりにシャツのボタンが外され、鎖骨の辺りに吸い付かれる。ちりっ、と少しだけ痛んだ。

「な、にして…」
「いいだろ別に。どうせお前きっちり締めてるから見えないし」

そう言う問題じゃないですよ。それに体育があったらどうするんですか。
しかし彼は次々にボタンを外し、小さく体に口付けていく。流石に跡はないが。
かちゃかちゃとベルトが外されそうになって、流石に抵抗しようとしたのだが、上手く体が動かない。

「ま、悪いようにはしないから大人しくしとけって。…これで男にハマったら悪いけどな」

今さらりと恐ろしい台詞を言わなかっただろうか。
抵抗らしい抵抗も出来ずに前がくつろげられ、性器が取り出される。

「まあ、でかさもまあまあ、ってとこだよな」

冷静に観察しないで下さい!
彼の指がそこに触れ、絶妙なタッチで扱かれる。流石神様と言うべきなのだろうか。勃ち上がってくるのは男の生理現象なので仕方ない…はずである。

「っ…ぁ」

吐息とともに微かに声が漏れる。彼はニヤリと笑うと、信じられない行動に出た。
躊躇いも無く、性器を口に含んだのだ。

「っ!?」

驚きに目を見開くが、それもつかの間だった。アイスを舐めるように裏筋を舐められ、亀頭を舌でつつかれ、そして吸い上げられる。どこで覚えてくるんですかこんなの!

「うぁ…っ…く、」

上目遣いでこちらを見ながら、じゅる、とわざと音を立てて吸い上げる。なんというか、絶妙に男心をくすぐる仕草ではある。
まさか、AVとか見て勉強したんじゃないだろうか。だとしたら案外神様というものは暇らしい。それに、彼がAVを持っていた、と言うこと自体結構意外なのだが。
ふと、余計な事を考えるな、と言いたげに彼が軽く歯を立てた。…そのくらい許して頂きたいのだけれど。
何しろ、余計な事でも考えてないと、早くも催してしまいそうなのである。
しかしそれを気にしてくれるような彼ではなく、鈴口を舌で刺激し、唇を窄めて強く吸い上げる。

「ぁ、…く…ぁあ、っ!」

抵抗虚しく僕はあっさり彼の口内に白濁とした液体を吐き出してしまう。
その上あろうことか、彼がそれを嚥下したのだ。それも、羞恥を煽るかのごとく、ごくりと喉を鳴らして。

「の、のののん…っ!?」
「別にこんなもんタンパク質の固まりだろ。飲み込んだって毒じゃないんだから問題ないだろ」

だからって飲み込むものでもないと思う。彼がけろりとしているのが、かえっていたたまれない。
彼が僕の上から退いたため、これで終わりかと思ったのだが違った。ガチャガチャとベルトを外し、下着ごとズボンを膝下まで下げた。

「な、何を…」

焦る僕を尻目に彼は再び僕に馬乗りになる。しまった、何故さっきの間に逃げなかったんだろう。

「まあ、さっきから言うようにお前に何かしろってわけじゃないから、ちょっとおとなしくしててくれよ」

ここまで来て反抗するのもバカらしくはある。が、だからと言っておとなしくしているのも問題があると思う。
しかし何をするのかと思えば、彼は自分の指をなめ、たっぷりと唾液をつけたのだ。

「ローションが一番いいんだが…ま、いいだろ」

ローション。不穏な響きである。
そして次の瞬間、僕は大いに驚くはめになった。
彼が指を、自分の排泄器官であるそこへ持っていったのだ。
ぎち、と音がしそうなほど硬く閉じられたそこへ、ゆっくりと指が呑み込まれていく。見てはならない、そう思うのに見てしまう。苦痛の愉悦の入り交じった、艶かしい彼の表情を。ゆっくりと慣らされていく、彼のそこを。

「んっ…く、ぁっ…は、ぁ…っ」

水気を帯びた彼の声が、柔らかく耳朶を叩く。不意に、下半身がうずくのを感じた。まさか。彼に、欲情…して、いる?
僕の変化を感じたのだろうか、彼がそこを見て、少しだけ笑った。

「案外…っ、嫌がってないみたいで、安心、した…っ」

馬鹿にした笑みではない。安堵したように、少しだけ嬉しそうに、笑ったのだ。
もういいか、とつぶやくと彼は僕の性器を扱き、立ち上がらせるとその上に腰を下ろした。

「っ…!」
「っは…、ぅ…っ」

キツくて、熱い。女性の膣より、何倍もキツい。受け入れるようにはできていないので、当たり前だのだが。さすがの彼も、苦しそうだ。
…そういえば、彼のこんな顔は初めて見るような気がする。いつだって飄々としているし、好きなようにしているから。それこそ、苦痛がないように何かすることもできるはずだろう。

「うぁ…んっ、く、ぅ…、」

今がどういう状況なのかさえも忘れて、綺麗だ、と思う。苦痛に歪む顔さえも、艶めいている。

「ぁ、あ、…っ…や、ばい…っ」
「え…?」

切羽詰まったように彼がうめく。

「相性、よすぎなんだよ…っ…お前…!」
「あい、しょう…?」

荒く息を吐きながら彼は根元まで性器をそこへ受け入れる。もちろん、僕もそう余裕でいられるわけはないのだが。

「っ…、俺と、お前波長が…合う、んだよ…だから、溢れた力の受け渡しも楽なんだ」
「それ、で、僕、に?」

でも、僕じゃなくても他にもいるはずだろう。

「…何故、僕を?」
「…、」
「え?」

彼にしては珍しく、もごもごと口ごもっている。

「だから…俺が、お前を気に入ってるからだよ。…悪いか」

だから、彼はこんなにも僕のことを気にかけてくれていたのだろうか。
最初の出会いからずっと、何故僕に正体をばらしたのだろうとずっと思っていた。その答えが、これなのだろうか。
だとしたら、

「…いいえ、嬉しいです」

僕は嬉しかった。多分それは、僕がずっと彼に惹かれていたせいだ。今ならわかる。
なんだかんだと言いながら、今日こうして逃げられなかったのも、彼のことが好きだったからだ。
僕は体を起こした。その拍子に彼のウィークポイントにでもあたったのか、「ひ、っぁ、」と彼が甘い悲鳴を上げる。

「おま、急に…っ…うご…!」

文句を言おうとする彼を、僕は抱きしめた。大体さっきまで好き勝手してたのは誰なんですか。
だからもう、僕も知りません。

「…好きです」

彼が腕の中で、びくりと震えた。

「あなたの気持ちとは、違うかもしれません。それでもいい。僕は、あなたが好きです」

言葉にしたら、もっと実感できた。そうだ、僕はこの人に振り回されるのが、嫌いじゃなかった。楽しかったのだと思う。そして、子供のような、大人のような振る舞いを、好きになっていった。

「神様だからでも、『彼』だからでもなく、あなたが好きです」
「べ、つに…、俺は、お前を好きって意味で気に入ってるって言った訳じゃ」
「それでかまわないんです」

僕がきっぱりというと、彼は驚いた顔をしていた。というか、心を読んだらそれくらい本当だってわかるでしょう。

「あなたが僕のことを気に入ってくれている。それだけで、いいんです。元よりあなたは神なのだから、不相応な愛を求めようとは思っていません」

気まぐれな彼が、僕のことを気に入ってくれている。それだけで、いいと、今は思う。

「ぃあ…っ、こい、ずみのくせに…!」

彼の顔は赤く染まっていた。それが快楽によるものか、羞恥によるものかはわからないが、僕しか知らない顔なのだと思うと嬉しくなった。

「…でも、あなたを喜ばせたいのに、どうしていいかわからないんです。…教えて、くれますか?」

僕が問うと、彼は小さく頷いた。

「俺、が…動く、から…なんも、しなくていい」

そうは言うが彼の言う通り相性が良すぎるのだろう。感じすぎてしまうのか、彼は中々自分で動くことができない。…お互い、拷問に近い状態だろう。

「…すみません」
「え…っ、ぁあ!」

一応謝ってから、彼の腰をつかむ。今更体制を変えるのもつらいだろうから、このままでいい。
僕はできるだけゆっくりと、彼を揺さぶる。引き抜かれる感覚が一番感じるのか、「ひ、ぁ、ああっ…!」と甘い声を上げながらぶるりと体を震わせた。

「ぁ、も、っと…強くて、いい…!」
「…でも、」
「いいから…っ、」

焦らすな、と耳元で囁かれ、箍が外れていくのがわかる。ああもう、本当に人を煽るのが上手い人だ。

「あ、ぁ、ああっ…んぅ、は、ぁ…っんん」

感じすぎるせいか、あふれる涙を舐めとって、僕は彼に口づける。

「ん…ぅあ、あああっ、や、そこ…っ」
「ここ、っ…ですか?」

こくこくと彼が頷く。どうやらここが一番感じるらしい。

「ひ、ぁ、ああっ、も、イく…っ!」
「っ…!!」

彼がそう言った時だった。どろどろと彼の性器から精液が吐き出され、僕はぎゅう、と締め付けられる。だめだ、と思ったのだが遅かった。僕は彼の中に精液を注ぎ込んでしまう。

「っ…は、熱、い…」

とろん、とした表情で彼がつぶやいた。少し慌てて引き抜くと、どろりとしたものが溢れ出る。

「…大丈夫ですか?」
「…ん。すっきりした、サンキュ」

軽く頭を振ってから彼は立ち上がると、半ばで引っかかっていたズボンを脱ぎ捨て、シャワールームへ向かう。

「…あの?」
「泊まる。別にいいだろ」
「え」

家族の人とかどうするんですか。まあ明日は休みですけど。

「…なんだよ、俺がお前と一緒にいたいと思ったら、駄目なのか」
「…!」

驚いた。彼がそんなことを言ってくれるなんて。
いいえ、嬉しいです。そう言って僕は彼を抱きしめた。




























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