「え?」
彼の口から飛び出た言葉に驚いて僕はもう一度聞き返した。
「だから、誕生日だと言ったんだ」
「ええと、あなたの…ですか?」
彼は頷く。これは彼個人の誕生日なのだろうか、それとも
「両方だよ。俺が生まれた日で、こいつが生まれた日でもある」
まあ正しくは俺と言う存在がこの場所に来た日でもあるわけだが。
と彼は呟く。
「…あの、もちろん何も用意してなかったりするわけですが」
「んなもん言われなくてもわかってるよ」
だから、とお決まりのように彼はリボンを取り出して僕の両手に巻き付ける。…わざわざ巻く意味ってあるんですか?
「気分だ気分」
啄むようなキスをしながら彼は微笑んだ。
目の前で僕を受け入れる場所が解されていく。僕は何もしていない。彼曰く、
「誕生日なんだから俺が好きなようにする」
ということらしい。普通は僕が奉仕する側だと思うのだが、彼らしい。
「ん、ぁ…っ、あぁっ」
こうしていると一番最初に体を繋げた日を思い出して、ちょっと可笑しくなって笑う。未だに彼の好きは肉欲だけなのかそれとも本当に僕を好きでいてくれているのかわからないが、それでもとても幸せだと感じるのだから、我ながら自虐的だと思う。
「…僕に見られているだけで感じるんですか?」
「あ、ぁ…っ、感、じる…っ」
彼は小さく身震いをする。
「自分で受け入れる準備をするなんて…はしたない人ですね」
「うる、さ…っ、誰が、こんな風に…した」
「僕のせいなら、嬉しいですよ」
最初から、どうしようもなくなって僕を押し倒してくれたのだとしたら嬉しい。気付いていなくても、彼は僕を好きなんじゃないかと思えるから。
「あ、も…こい、ずみぃ…っ」
「どうしました?」
「ほし、い…っ」
熱に浮かされた瞳が僕を捉えて、僕はまたその視線に煽られる。
「…どうぞ。今日はご自分でなさるんでしょう?」
「てめ…っ…覚悟しとけよ」
一瞬怒ったものの、彼はすぐににやりと笑った。もちろん覚悟はいつだってしている。何しろ本当に出なくなるまでヤろうとするのだから。
僕の上にまたがった彼が少しずつ性器を中へと招いて行く。キツくて熱いのはいつも変わらない。
「っぁ…締ま、りがよくて…いい、だろ…」
「、…うっかり千切られそうですけど、ね…っ」
「安心、しろ」
千切ったらつまんないだろ、と息も絶え絶えになりながら彼は言う。…ホントに、僕の体を愛しているのか、僕を愛してくれているのか分からない人だ。
「…含めて、だよ」
「え?」
「全部、だ」
驚いた。
「…熱でもあるんですか?」
「アホ…っ!」
「っ」
殴れないせいかぎゅっと締め付けられて息を呑む。
「すみません、冗談です…」
「ったく、ムードの無い…」
少々落ち着いたのか、彼は溜息をついた。しかし、驚いた僕の気持ちも分かって頂きたい。
「だって、本当に珍しいじゃないですか、あなたがそんなこと言うの」
「…うるさい」
自覚はあるんだろう、顔が真っ赤だ。
「…可愛いです」
「っ…!」
可愛くない、と反論する彼に、僕はもう一度可愛いですよ、と囁いてキスをする。
「…おめでとうございます、で良いんでしょうかね」
「なんでもいいさ。俺はお前がいればいいからな」
「…ホントに、今日はめずらしいですね」
そう言う気分なんだろ、と笑って彼は僕に口づけた。