「よお」

と、いつものように突然現れた彼に僕はさして驚かず、こんばんは、と答えた。

「何だよ、驚けよな」

つまらん、と彼は呟くが、僕としては何となく、彼が来るような気がしていたのだ。
何せ今日はバレンタインデーと言うやつで、恋人たちや片想いの人の為のイベントの日である。かく言う僕も昼間、涼宮さんたちに宝探しと称して穴堀りをさせられ、そこから出てきたチョコレートを頂いたばかりである。
だからこそ、多分彼も来てくれるのではないかと思っていた。

「それで、今日は?」
「お前、わかってて言ってるだろ」

バレましたか、と笑えば彼がキスを仕掛けて来て、口移しで甘いものが渡される。チョコレート。

「…もっと食うか?」

にやりといたずらっぽく笑う彼に、僕は素直にはい、と答えた。








部屋中にチョコレートと精液の匂いが充満していて、何となく、いやらしいな、と思う。やってる事がコトなのだから、当たり前ではあるのだけれど。
体温でじわじわと溶けるチョコレートを、彼の体に塗り付けて舐めとれば、まるで本当に彼を食べてるみたいだ、と笑った。

「っは…なんだよ」
「甘い恋人、って、こう言うことを言うのかな、と」
「、んぁ…、ありがたく、いただきやがれ」
「ええ、もちろん」

美味しいですよ、あなたも、チョコレートも。
そう囁けば、紅くなった顔で食中りでも起こしやがれ、と毒づかれた。
彼と会う回数は以前より少なくなり、それに反比例するように一日にするセックスの回数が増えていく。言葉だけの愛を信じない人だから、特に不満はない。いつだって彼は愛の言葉を返すことはないが、行動の端々に溢れるような愛しさを感じるからだ。
好きだ、という言葉の代わりに、沢山キスをされる。抱きしめられる。それだけで、満たされる。

「愛してます」
「ひ、ぁ…ん、し、ってる…っ」

頷いて、彼が笑う。欲情しているせいか、そんな仕草さえ艶かしく映る。

「愛しています、あなたを」

何度も囁けば、もう黙れと言わんばかりにキスをされる。言葉にするのもされるのも、相変わらず苦手な人だ。
それでも、伝えきれない想いを少しでも届けたくて言い続けると、彼が顔をしかめる。

「どうかしましたか?」
「…チョコレートよりお前の方が甘ったるい」

違いないな、と僕は笑った。
でもそれは彼も同じだ。チョコレートより、彼の方が甘く、僕を誘惑する。

「ふふ、美味しいですか?」
「不味くはないがいつか胸焼けしそうだ。…悪くないけどな」
「じゃあ僕に、」

チョコレートより甘くて美味しいあなたを下さい、と言えば、骨まで食えよ、と彼は笑った。


























SEO [PR]  冷え対策 再就職支援 わけあり商品 無料レンタルサーバー ブログ SEO