さてまあ、古泉と俺がなんというか…な関係を始めて早数ヶ月である。言っておくが付き合っているわけじゃない。セフレ…というとなんだそれはと言う感じではあるが。
さて、唐突ではあるが俺は非常にまずい場面を迎えていた。
「キョンくん挿れてもいいですよねそうですよね僕はもう充分待ちました」
藪から棒になんだこれは!と、言いたくなるであろうことはわかっている。わかっては、いるんだが…。
俺だって男だから、古泉の気持ちがわからんでもない。しかぁし!掘られる側としては慎重に為らざるを得ない。
冗談じゃない!俺はノーマルだ掘られて堪るか!と思う気持ちは…不思議とあまりない。深く考えないことにしよう。
ちなみに現在は古泉の部屋である。そして俺は、ソファの上で押し倒されているわけなんだが。
「ちゃんとローションもゴムも準備しました。キョンくんが痛い思いをしないように充分準備だってします。約束します、ちょっと苦しいかもしれませんけど絶対に気持ちよくしてみせます」
一気に捲し立てるな、落ち着け、頼むから。何をそんな切迫詰まってんだこの馬鹿は。しかも俺が断ってもヤる気満々じゃないのかその準備の良さは!
「本気で嫌なら止めますけど…」
それでお前が止めたことあったか。ついでにいうと最初の一回はかなり本気で拒否した覚えがあるんだが。
とりあえず俺は溜め息を吐いた。あーもうここまで来たんだ、どうにでもなっちまえって話だ。床についていた手をそっと古泉の背に回す。
「…痛かったら後で殴るからな」
「っ…はい!」
顔を見ないように抱きついたんだから古泉の表情など知らないが、美形が台無しになるくらい緩んでいたに違いない。
予想できちまう辺り何だかなぁ、なんて思っていたら不意に体が浮いた。正確には古泉に抱き上げられたんだが。
「お、おい、古泉?」
「ベッドまで行きましょう。少しでも負担を和らげたいですし」
だからって壊れ物を扱うみたいにしなくていい。こっちが恥ずかしくなる。というか、否応無しに緊張する。早まったか?俺。大丈夫なのか、本当に。
ゆっくりとベッドの上に寝かせられる。古泉が乗ると、ギシ、とスプリングが音を立てた。
「ふふ…顔、赤いですよ。緊張、してますか?」
「っ…耳元で喋るな…!」
かあぁっ、とますます顔が赤くなるのがわかった。くそ、なんでこんな弱気になってんだよ俺!
「大丈夫です、ちゃんと気持ちよくしますから…」
「っ…ぁ」
ほんの少し、どこかいつもより余裕のない古泉の声が、耳朶をくすぐる。ぞくぞくとした感覚に支配されていく。ゆっくりとシャツのボタンを外す手すら今日は煩わしい。
これでは俺の方がヤるき満々みたいじゃないか。そう思いながらも自分から古泉の服を脱がしにかかる。これには古泉も驚いたらしく、動きが少し止まった。…なんだよ、そんなに意外か。もっと嫌々だと思ってたのか?
「…まあ、そんな感じですね。積極的なのは、嬉しいですけど」
一言多い。それと笑顔もな。ったく、いつもより数倍機嫌が良さそうだぜ、お前。
なんて余裕そうかも知れんが、こっちもいっぱいいっぱいだ。今更なんだが、恥ずかしいやら緊張するやらで頭の中はぐるぐるしっぱなしだ。責任とれよ、古泉。
すこしだけ、いつもより汗ばんだ手が肌に触れる。ああ、こいつも緊張してんだな、なんて頭の隅で考えながら、古泉の手の感覚を追う。
いつもより余裕のなさそうな、けれどいつもより優しい手つき。…あのな、今更遠慮すんなよ。なんか…変な感じだろ。
「だけど、やっぱり優しくしたいんです。折角キョンくんと繋がれるんですから…」
男女の中でもあるまいし、繋がるってそんなに大事か?
「受け入れるって、大変なことじゃないですか。でも、キョンくんは受け入れても良いって、言ってくれた。僕にとったらすごく大事なことですよ」
ったく、幸せそうに笑いやがって。肝心の一言は言わないくせにな。…まあいい、お前が言うまで俺も絶対に言わんからな。そこは絶対譲らん。
心の奥底で決意しながら、触れてくる唇に応える。…あ、キス、初めてなんじゃないか。お前とだけじゃなく、俺自身が。
「そうなんですか?…嬉しいです」
「あのな…んっ、ふ…ぁ」
抗議しようと口を開けば、またキスされた。おめでとう俺。人生二度目のキスでいきなりディープですってよ。
絡み合う舌が熱い。飲み込みきれない唾液は、混ざり合ってもうどちらのモノでもない。
「んっ…は、ふ…っ」
しつこいくらい長いキスのせいで、息が上がりきっている。しかし落ち着く暇もなく、古泉は俺の体についばむようにキスを落とす。
時々ほんの少し痛みが走り、見れば紅く鬱血の痕が残っている。
「っ…古泉!お前な…っ」
「大丈夫ですよ、ちゃんと見えない所につけましたから」
と言っても、お前みたいにきっちりネクタイを締めれば、な位置だがな!この痕が消える前に体育とかあったらどうすんだよ!?
だが古泉は俺の抗議などどこ吹く風、痕を残すのを止めようとしない。…はぁ、ったく、好きにしろよ。
古泉に体を委ねれば、調子に乗ったらしく、また数個ほど痕をつける。…お前な。
今度は俺が抗議をする前に、ゆるゆると体を撫でていた手が、胸の飾りを愛撫しだした。…自分で言うのもなんだが、段々脳内表現がエロくなってないか。身も蓋もなく言えば、乳首を摘んだりこねったりしているということなのだが。うむ、色気の欠片も無い。
「ん、ぁ…っ」
しかしまあ、中身と外身は別というかなんというか、俺はと言えばしっかり感じている。緊張のせいか、いつもより敏感になっている気がする。古泉もそれは同じなのか、少々動きが性急である。
「ちょっと辛いかもしれませんけど…耐えて下さいね」
「え、うぁ…っ」
荒々しいくらいの手つきでくつろげた前を扱かれ、半無理矢理と言っていいくらいに高め上げられる。が、もう少しでイくという一歩手前で止められた。
「こい、ずみ…っ」
「出来るだけ辛くないように、と思って。といってもこれでは逆につらいかもしれませんね」
と、苦笑してみせるだけで、後はなにやらごそごそとしている。
俺はと言えば、くるりと体を反転され、俯せの状態で古泉が何をしようとしているのか見えない状態である。まあ、何をするかは予想がつくんだが。
けれども次の感触にはかなりびびった。
「いぁ…っ…つ、めた…い」
トロリとした冷たいものが後孔に塗り付けられる。反射的にローションか、と頭は正答を導き出していた。ゆるゆると古泉の指がそこを撫でる。馴染ませている、と言うべきか。外側から解すようにして時々指に力が入る。俺はと言えば、出来ることは力を入れないようにすることだけだ。
大分ローションが馴染んだ頃、さらにローションまみれになった指が、つぷり、と侵入して来た。
「ふ、く…ぅ…っ」
痛くはない。痛くはないんだが、異物感が否めない。出来るだけ深呼吸をして、力を抜く。古泉の指は周りを解しながらじりじりと奥へ入ってくる。
「少しの辛抱です、すぐにあなたのいい所を見つけますから」
なんだそれは。どういう意味なんだ。そう思うのもつかの間のことで、俺はその意味をすぐに味わうことになる。
「っひぁ…!」
「…ここ、ですね?」
「う、ぁ、ああっ…な、んだよこれぇ…っ」
声を抑えるとか、そんなの無理な話だった。萎え始めていたそこが完全に勃ち上がっている。
「前立腺、ですよ。わかりますか?」
書いて字の如し。わかりやすい説明をどうも。
とろとろと溢れる先走りを掬うようにしながら古泉はまた指を増やす。今度は結構簡単に入った。息苦しさは増したがな。
ぐちぐちと鈍い水音が響く。頭が真っ白になって吹っ飛びそうだった。
「…そろそろ、いいですか?」
聞くな。ずるりと指が引き抜かれる感覚で、今三本指が入っていたんだと気がついた。うーん、人体って不思議。ハルヒがいつか人体の謎を究明しましょ!とか言い出さなければいいが。
再び仰向けにされ、古泉と目があう。お互い自然と唇を寄せていた。熱い昂りが押し宛てられ、ゆっくりと入ってくる。熱い。苦しい。
「っ…辛かったら、爪を立ててもいいですから…」
そう言われて遠慮なく古泉の背中に爪を立ててやった。幾分かましになった気がする。古泉は少々痛そうに顔を歪めていたが、俺のこの苦しみを少しは味わえと言うものだ。といっても、やはりこんな狭い場所に突っ込もうと言う方にも負担はあるのだろうが。
「ぅ…く、は…っ…ぁ、ふ…っ」
「、…キョンくん、奥まで入りましたよ…わかりますか?」
「ぁ、み、みもと…で、しゃべ、るなぁ…っ」
思わず力が入って、古泉を締め付けてしまった。苦しい。お互いにな。
「っ、すみません…もうちょっと手加減してもらえると嬉しいんですけど…」
「無理、だ…っ…つの…!」
は、は、と犬のように短く息を吐き出す。段々と馴染んで来たせいか、少しは楽になってきた。
「動いていいですか?」
「…まだだ」
「…そろそろいいんじゃないですか」
「まだだ」
「…………もういいですよね」
「だからまだ…うぁっ!」
ず、と内壁が引きずられた。この野郎、動きやがった。
「ちょ、こいず、み…っ…まて、って…!」
「悪いですけど、僕ももう待てないんです」
そう言った声が真剣味を帯びていて、顔を見なければ良かったと俺は思ってしまった。
いつもの取り繕った笑みはそこになく、本当の古泉がそこにいる気がした。ドクン、とどこか遠くで心臓の音が聞こえた。
「ひ、ぃ…ぁ、あ…っ」
間髪入れず古泉が律動を開始する。俺を気遣ってなのか、ゆっくりとした動きだが、的確に俺が感じた場所を刺激している。
「あ、ぁ、…っく、は…ぁ、う…っ」
「っ…ふふ、大丈夫みたいですね…」
「ぃ、あ…っ…ゃ、ぁあっ」
段々と早く、深くなる律動に、ただ古泉にしがみついて喘ぐしか出来ない。苦しさなどどこかに吹き飛んで、今は快楽と熱さが体中を支配している。
「あ、ぁ…こ、いずみぃ…っ…イ、きたい…っ」
ぐるぐると体の中で熱が渦巻いている。解放されない熱のせいで、どうにかなりそうだった。
「、っ…いいですよ、僕も…そろそろ、です…っ」
一段と深く突き上げられる感覚と、強く先端を刺激された感覚で、目の前がスパークした。
「うあ、ぁ、あぁあぁ…っ!」
「っく…!」
自然と力が入ったせいで古泉を締めたのか、ほんの少しの差で古泉が中に白濁とした液を吐き出すのが分かった。熱い。どうしようもなく。
「は…ぁ…」
「…気持ち、良かったですか?」
「…うるさい。いいから早く抜け!」
俺がそう言うと古泉は名残惜しそうに俺の額に唇を落とした後、ずるりとそれを抜いた。同時にどろりとしたものが流れ出る。…うわ、気持ち悪い。
「…古泉、風呂貸せ」
「ああ…どうぞ。どうせなら一緒に入りますか?」
「アホ。勝手に言ってろ…と、うわっ」
立ち上がろうとして、腰に痛みを感じて倒れかける。そこをすかさず古泉に支えられた。
「……非常に不本意なんだが……そうしなきゃならんらしいな」
「じゃあ、行きましょうか」
にっこりと笑う古泉に、再びひょい、と抱え上げられた。そのまま風呂場へ直行。第2ラウンドがあったかどうかは……ご想像にお任せすることにしておこう。
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