拍手ログ。キョンの悪夢シリーズ第一弾。 順に 多人数の兄弟の兄な古泉、実は家庭があり子どももいた古泉、ハイテンション長門、黒みくる、黒木田VS古泉です。















どういうわけだか知らないが、俺は本日古泉の家に呼ばれていた。
ついでにいうと実家である。機関から用意されたような家ではなく、ちゃんとした古泉の家族のいる家だ。何故そんなことになったのかはどうしてだか覚えていない。

「キョンくん、紹介しますね、僕の家族です」

そう言って古泉がドアを開けた瞬間、そいつらはやってきた。

『兄ちゃんおかえりなさーい!!』
「うわっ!?」

どたどたと応酬する子ども達が俺を押しつぶすようにして古泉に駆け寄る。その数およそ10人足らず。男女入り交じっていて、年齢は一番上で中学生くらいの年齢である。な、なんなんだ!?

「ただいま。嬉しいのは解るけど、お客様を潰しちゃ駄目だろう?…大丈夫ですか、キョンくん」

えーと、誰だこいつ。
俺がそう思うくらいには驚くほど柔和な笑みを浮かべた古泉がそこに居た。というかこれは古泉じゃないと思う。胡散臭く無い古泉など古泉ではない。

「…それはいいが…え、っと…この子らは?」

俺が聞くと古泉はにこりと笑って言った。

「僕の弟と妹達です。あれ、言ってませんでしたっけ」

















「知るか知らん聞いてないぞそんなのつかお前のキャラじゃない!」




そこまで叫んでからガバリと飛び起きた。見回せば確かに俺の部屋。そして今は夜。

「…なんだ夢か……」

がっくりと脱力した俺は再びベットに沈んだ。
次の日の放課後、古泉の顔を見たらムカついたのでなんとなく殴っておいたことを添えておく。




















そして俺は何故か古泉の家に再び行くことになっていた。再びというと語弊があるが、この前夢で同じ状況を見た俺としては再びと言わざるを得ない。というかまた夢じゃないだろうな。

「夢なら良いと思うくらい、僕の家に行くのが嫌ですか?」
「いや、別にそんなことはない…が」

この前のことを思うと正夢だったりしないだろうな…とか思ってしまう。

「ああほら、つきましたよ」

そうこうしているうちについたらしく、古泉は家のドアを開け、中へ入る。

「ただいま帰ったよ、あの子は元気にしてるかい?」

あの子?そう思ったのもつかの間。

「ぱぱー、おかえりなさい!」

とてとてと小さな子どもが古泉に向かって走って来た。…ぱぱ?
ついでにいうとその子どもはいやというほど古泉にそっくりだった。まるで小さい古泉のようである。…もしや。

「よしよし、良い子にしてたかい?」
「うん、ぱぱがはやくかえってくるようにね、いいこにしてたよ!」

古泉はいつものポーカーフェイスはどこへ言ったんだというくらいに顔の筋肉をゆるませている。

「ああそうだ、キョンくん、紹介しますね。僕の息子です」













「お前やっぱり年上だったのかつーか子どもがいる年齢で高校生って犯罪だろ!?」





叫びつつ俺はがばりと起き上がる。…我ながら突っ込みどころを間違った気がして来た。

「…もう知らん。寝る…」

俺は脱力するとそのまま寝た。もちろん次の日に古泉は殴っておいた。


















いつものようにコンコン、と文芸部室をノックすると「はーいっ!」と、朝比奈さんのものではない返事が返って来た。はて、我がSOS団にこんなハイテンションな少女がいただろうか。
鶴屋さんの声とも違うし、ハルヒはハイテンションというには常識を逸脱しているので除外しておく。それにしても聞いた声ではあると思うんだが…。
考えても仕方がない、と考えた俺はがちゃりとドアを開けた。

「おっそーい!返事をしてからタイムラグありすぎだよ。何してたのー?」

そして俺は声の人物を見るなり固まってしまった。えーっと、誰だコイツ。

「あ、今誰だこいつとか思っちゃってるでしょ?」

当たりだ。

「もー、失礼だなぁ。長門だよ、長門有希!顔見たら解るでしょ?」

いや顔を見たら解るのは解る。しかし、だ。このテンションは一体?

「涼宮ハルヒの為に大人しくて無関心で無表情な女の子を演じてたの!まったく情報統合思念体も無茶苦茶なこと言うわよねー。肩が凝るったらありゃしないわ!」

長門…で良いんだよな。は、こきこきと関節を鳴らしている。顔は確かに長門だが、例の世界での長門よりもっと表情がくるくると変わる。はっきり言って別人と言ったほうがまだ納得出来るくらいだ。
戸惑う俺を他所に、長門はにっこりと俺に笑いかけ、

「ということであたしこれからこのテンションで行くから、よろしく!」















「ない、絶対ない!というか明らかにキャラが被ってる!!」





と再び間違った突っ込みを入れつつ飛び起きた。いやしかし、マジでハルヒ辺りとキャラが被ってると思うんだが。正確にはハルヒ+鶴屋さん÷2だな。
もう何も言うまい。俺は黙ってベットに沈んだ。
次の日の放課後、長門を殴るわけにもいかないので古泉を殴っておいた。「な、なんなんですか!」なんて喚いていたが無視だ無視。






















段々なんとなくああこれは夢なんだなぁ、とか言うのが解るようになってきた。というかフロイト先生曰く夢は願望が見せるものだというが…俺は決して今までのでき事を考えたことなどない。一ミリも。
という訳で今回の夢も俺が望んだことではない。間違いなく。
まあそれはさておいて、俺は部室に居た。西日が差し込むことから、もう夕方で、ハルヒたちが去っていくのが見えたので下校時間なんだな、となんとなく思った。
そんなときだった。

「あー、疲れた」

心底疲れたような声で、俺の隣に居た人は言った。俺は自分の耳を疑わずにはいられなかった。いつもより格段と低い声。それは、

「何?こっち見て」

にっこりと微笑む上級生から発せられた言葉だったからだ。心無しか顔つきまで違って見える。

「『朝比奈みくる』らしくないって言いたいんでしょうけど、あんな天然でボケた娘ホントにいるわけないじゃない。あー、マスコットも疲れるわー」

顔を顰めながらそう言う姿は言っちゃ悪いがおっさんのようである。えーっと、俺はどうしたらいいんだろうな、この場合。

「『ふえぇ、す、涼宮さぁ〜ん』…なんてホント自分で自分が気色悪いわ。あ、鳥肌立って来た。なんならあなたもぶりっ子演じてみる?」
「いや、遠慮しときますけど…」

先日の長門に引き続いてこれだ。夢であることは間違いない、間違いないんだが…

「ったくホント疲れんのよねー。見た目が幼いからって上の人たちも言ってくれるわよね。……覚えとけよいつか足蹴にしてやる


















「どっちかっていうとそれ中の人ですから!!」




…と、突っ込まずにはいられなかった。ばちりと目を開けるとやはり自分の部屋。
夢で良かった。ホントに。切実に。
次の日の放課後、俺は「え、え?あ、あの…?」と不審がる朝比奈さんを拝んでおいた。あなたはやっぱりこのままが一番です。いつまでも天使のままでいてください。




















教室で国木田や谷口と談笑していると、古泉がやってきた。珍しいこともあるもんだ、なんて思いながら俺はそれに対応する。
先ほどそこでハルヒに会い、今日の部活はどうするか、という話をされてそれを俺に伝えに来たらしい。というかハルヒ、そんなもん後で自分で言えよ。なんて思いながら俺たちが談笑していると、国木田が割って入って来た。

「…あのさぁ、いつも言おうと思ってたんだけど…」

そう言って国木田は古泉に向き直る。なんだ?

「君ってやたらとキョンに対して馴れ馴れしいよね。同じ部活の仲間だからとかそういうのは理由にならないよ。そんなことを言い出したら僕の方がキョンとの付き合いは長いんだし」

…えぇと?

「そうですね、同じ学校にいた、という意味での付き合いならあなたのが長いんでしょうね。どのくらいの付き合いがあったのかは知りませんけど」

…あの?

「そりゃあもうお昼を一緒に食べるくらいだしね。クラスも一緒になることも多かったし、君よりはずっと長い付き合いになるよ」

心無しか両者の間に吹雪が吹き荒れている気がするのは俺だけだろうか。思わず谷口に視線を向けてみるが、谷口も困惑している。なんなんだ?

「俺が知る訳ねーだろ…ぐはぁっ!?」
「た、谷口!?」

顔を突き合わせてひそひそと会話していると、谷口に向かって蹴りが二発飛んで来た。国木田と古泉である。

「まったく谷口も油断ならないよね」
「僕のキョンくんに近づかないで下さい」
「誰が誰のだって?はっ、妄想もいい加減にしなよ。あり得なさすぎて笑えるね」

二人ともにこにこと笑ってはいるが、既に空気は吹雪からダイヤモンドダストくらいまでには変化していた。すまん、逃げて良いか。

「では本人に聞いてみましょうか。キョンくん、キョンくんはもちろん僕のキョンくんですよね?」
「そんなわけないだろう?キョンは僕のキョンだよね」

じりじりと二人が迫る。がし、と腕を掴まれた辺りで耐えきれず俺は叫んだ。















「マジでホントになりそうだからやめろ!!!!!」




結論を言えばもちろん今回も夢オチである。何故か知らんが最近ホントに夢見が悪い。フロイト先生の夢占いはやっぱり当たらんらしいな。
というかふと考えるとホントにありえそうで怖いんだよな。俺がうんぬんは置いといて、一人称は僕だし、ルックス的にも女顔っぽいし、名字のイニシャルはKだし。同族嫌悪というか。
次の日学校で国木田の顔を見るたびビクビクしてしまったのは決して俺のせいじゃないと思う。うん。時々ホントに黒そうに見えるんだよな。























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