あのあとすぐ部室に入って来た長門曰く、今回のこれはいつまで続くのかわからんらしい。それというのも、どうやら機関も(これは古泉から聞いて知っていたが)、未来人の組織も、俺たち…もとい北高全体の生徒の性別が元から同じ状態であったと認識しているようなのだ。
つまり、今回機関の協力は得られず、さらに未来からの応援も期待できないという状況だ。自分たちでどうにかハルヒが元に戻りたいと思うように仕向けさせるか、ハルヒが飽きて自然にもとに戻るのを待つしか無い、というわけである。

「まあ、それならそれでいいじゃありませんか」

なんて古泉は言うが、朝比奈さんがかわいそうだと思わんのか。メイドから解放されたかと思ったら見苦しくない程度の露出がある女装をさせられてるんだぞ。いくら中身が女とは言え、女装しているのにはかわりがない。それに、聞く所によると気持ち的には女の時より男に近いそうじゃないか。…メイド服が戻ってくる確率も、低くはないしな。
ちなみに現在ハルヒは

「ちょっと買い物行ってくる。みくるちゃんと有希はついて来てくれ。あとの二人は帰るなりなんなり好きにしていいから」

と言って二人をつれてどこかにでかけてしまった。
いつものようにこのままオセロをするのも面倒(というか密室になりそうな部屋でこいつと二人きりという状況になんとなく危機を覚えて)なので、ハルヒのありがたーいお言葉に従って帰ることにした。

「あれ、帰られるんですか?」
「まぁな」
「じゃあ、わたしも帰ります」

何故か古泉も当然というようにひっついて来たので、現在一緒に下校中である。

「まだ時間がありますし、折角ですからどこかのお店にでも入りませんか?」
「別に良いが…」

どうせまた喫茶店にでも入って女の子らしく、なんて言いながら午後のティータイム、なんてなるんだろうな。そう思った俺が間違っていたらしい。

「……………」

思わず俺が言葉を失う中、古泉が堂々と入って行ったのはランジェリーショップである。

「古泉、お前なぁ…っ」
「いいじゃないですか。女の子なんですし、いけませんか?」

いけないことはないだろうがな、こういうのは心理的に…

「それに、さっき触ったときに思ったんですけど…」
「うぎゃっ」

再び古泉が胸を鷲掴む。しかも今度はしっかりと揉まれる。

「おまえ、なぁ…っ!」
「…やっぱり」

怒りたいのは俺の方なのだが、何故か古泉の方が怒っている。何なんだ。

「ブラ、着けてませんよね?」
「うぐ…っ」

ズバリ指摘されて俺は押し黙る。

「いや、だって、ほら…」

対して胸も無いし、元が男なんだ、着けるのに抵抗あるんだよ!
幸い俺の性格を尊重してなのか、部屋の下着入れにはブラはなかった。スポーツブラだとかキャミソールだとかそんなんはあったがな。

「だから、ここに来たんですよ」
「は? っちょ、も、揉むな…ぁっ」

一頻り俺の胸を揉んだ古泉はこのくらいですかね…いいつつその辺にあった下着を手に取る。

「まあ、ちゃんと店員さんに測っていただいても良いんですけど、あなたは嫌がるでしょうし」
「当たり前だ!俺は買わんからな」
「良いですよ、わたしが買いますから」

…は?

「ですから、わたしの趣味で選ばせてもらいます」
「ちょ、ちょっと待てよ!」
「なんですか?もしかして、自分で選びたいとか?」

違う!断じて違う!

「何でお前が買うんだ」
「わたしがあなたにちゃんと着けていただきたいからですよ」

そりゃあ、古泉の胸はでかいからな、着けてないわけないだろう。しかし、何故俺にまで強要する。

「形が崩れたらもったいないじゃないですか」
「…そんな理由か…」

俺は心底溜息をついた。

「だって、触った限りでは結構綺麗な形してそうでしたよ」

なんというか、男の時はさわやかそうな顔、女の時でも清楚な感じの顔立ちをしてるくせにそんな話題で盛り上がるな。イメージダウンだ。…まあ、こいつもやっぱり男なんだよなあとか確認したりできるが。

「しかしな、古泉」
「はい?」
「ふりふりひらひらはやめろ。お前そんなのが趣味なのか?」
「だって、可愛らしいじゃありませんか」

確かに可愛い。可愛いが、

「どう考えても俺には合わん」
「そんなことないと思いますよ」
「大体誰に見せるわけでもないのにそんなひらひらしてても邪魔だろ」
「じゃあわたしに見せてくれたらいいじゃないです…あいたっ」

俺が殴った頭を古泉は痛そうな顔をして撫でている。誰が見せるか!俺にそんな趣味は無い!

「じゃあ、あなたはどんなのが好みなんですか?」
「俺?そうだな…」

この辺かな、と俺は白い色のブラを手に取る。多少レースはついているものの、清楚な範囲内であり、可愛らしいと思う。…って何を真面目に選んでるんだ俺は。

「なるほど、清楚なのがお好みなんですね」

そう言いつつ古泉は明らかに俺のサイズよりでかいサイズを引っ張りだす。…まさか、自分のか?

「ええ、自分の好きなのを自分で着ても、中身が男である以上まったく楽しくないじゃないですか」

うんまあ、それは同感なのだが。

「ですから、あなたはわたしの好みのもの、わたしはあなたの好みのもの。…それでいかがですか?」

いやいかがですかと言われてもだなぁ。
そんな風に思いつつも、まあ、良いか、なんて思った俺は頷いていた。滅多にあるような体験じゃないんだ、楽しんだって損はないだろう。
どうせこの状態が一生続くわけじゃない。…しかし元に戻ったとき、後から買い足した服とかはどうなるんだろうな、俺の知った事ではないが。





楽しいと思うなら、それで良いじゃないか。そう思ってしまうあたり、俺も相当毒されてきたらしい。やれやれ。
































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